地理の先生の授業は、とても分かりやすい。
自分のタブレットとプロジェクターを持ってきては、
黒板に映像を映して授業を進める。

資料集をみてもイメージがつかないものを映像で説明してくれる。
カルデラ、タイガ、チェルノーゼム、地理特有の難しい単語も映像をみれば
すぐに理解できる。
ただ、説明するだけでなくグループ学習を取り入れて、発表する活動もある。

クラスメイトと話し合ったり、他の人の発表を聞くことは楽しみである。

また、先生は毎年のように海外に行ってるので、その映像をみるのも
楽しみだ。
中国、インド、台湾、イタリア…
人々の生活や街並みなどをビデオカメラにおさめてくる。
先生は私たちの学年主任も務めている。
白髪が目立つ50歳前後だろうか、
口調も穏やか、雰囲気がだらしなければ厳しい言葉をかける

しかし、基本は生徒一人ひとりを気にかけてくれるため、親からも信頼されている。
月曜日の5時間目は地理の授業だ。
昼ごはんを食べてとても眠いのだが、楽しみの方が大きい。
いつものように、先生はタブレットで映像を流す。
「パンパとは南米の肥沃な牧草地のことなんだよ。映像があるからみてみよう」
先生は、グーグルに「パ」と入力した。
すると、検索履歴に「パ○パン」「パ○パンと交尾」「パイパイとパ○パンの狂騒」などと出てきた。
生徒全員が画面をみていた。
少しざわめいた。
しかし、先生は冷静にパンパの映像をみせた。
手元をみると震えていた。
次にセルバの意味を映像で説明した。
「え~、セルバとは南米の熱帯雨林のこと…」
そして、タブレットに文字を入れる。
「セ」と入力すると、また履歴が出てきた。
すると、検索履歴に「セ○クス」「セ○クスと変態」「セ○クスと女子高生」
と出てきた。
「きゃー」「まじかよ」「ハハハ」
女子の悲鳴と男子の笑い声が教室内に響いた。
泣いている女子もいた。
いつも冷静な先生は顔を真っ赤にしていた。
「俺じゃない!俺じゃない!」

必死に抵抗したが、時すでに遅しだった。
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