なぜ、納棺で眼鏡を交換するの?
先日、幼馴染の祖母が亡くなった。
90歳、老衰だった。
最後は穏やかに布団の上で目を閉じていたとのこと。
小さい頃から本当に世話になった人だった。
元教師ということもあり、口調も丁寧で姿勢もピンとしていた。
昨年、入院したと聞いたのでお見舞いにいったこともある。
その友人が家にいなくても、遊びにいくような関係だった。
数日後、葬式があった。
仕事があったが、当然出席した。
そして、最後のお別れ、これから火葬されるときがやってきた。
皆、納棺されているおばあちゃんに別れをつげるため、顔を覗く。
綺麗な顔だ。なぜか、眼鏡をかけているのが気になったが、
生前も眼鏡がトレードマークだったからと家族が気を配ったのだろう。
すると…
今まで気に留めなかったが、
家族はもちろん、親戚皆、眼鏡をかけていた。
そういえば、友人も眼鏡だ。
「おばあちゃん元気でね」
母親が声をかける。
そのまま、通り過ぎると思ったら
自分のかけていた眼鏡を棺に入れた。
そして
次の人も…
次の人も…
皆、自分がかけていた眼鏡を棺に入れた。
最後に、当主である父親が眼鏡を入れ
そして、おばあちゃんがかけていた眼鏡を
取り出して、自分にかけだした。
周囲を見渡すと皆、新しい眼鏡をかけていた。
多分、用意していたのだろう。
その家独特の風習を目の当たりにすることができた。