最近、野菜の高騰がひどい。
キャベツが５００円、レタスが９００円、白菜、大根が３００円と
とても買えたもんじゃない。
原因は地球温暖化や夏の高温などと言われているが自然災害など複合的なものと推測される。
テレビは連日、野菜農家を取材して厳しい現実を伝えようとしていた。
たまたまテレビをつけるとみたことある人物が映っていた。
隣の野菜農家、佐原さんだった。
齢８０になるが、とても元気で毎日畑に行っている。
たまにお裾分けをしてもらっているので大変助かっている。
「あ〜、こんな田舎まで取材がくるようになったのか・・・」
そう思いながらテレビをみつめていた。
レポーターは最近テレビで活躍しているギャル風のママタレントだった。
佐原さんは取材に対して農家の現状、野菜高騰の原因など
ギャルママの質問に対して丁寧に答えていた。
「元気ですね」
「腕の筋肉凄いですね」
とボディタッチされていた。
佐原さんの興奮が
画面からひしひし伝わってきた。
「ちょっとまってて」
佐原さんは画面に背を向け自宅に入った。
「うちでとれた野菜だけど、食べてみて」
と野菜がたんまり入ったカゴをもってきた。
ギャルママはびっくりして野菜を手に取り出した。
佐原さんの目が鋭くなってきた。
「どれも大っきい〜」
「ぶっとーい」
ギャルママは大根、きゅうり、ナスなど優しく撫ではじめた。
佐原さんの「ふがふが」という荒い息遣いと鼻息が聞こえてきた。
「も、もしよ、よかったらた、たべてみませんか。うちのは無農薬なのでそのまま召し上がってください」
佐原さんは動揺しながらカゴからきゅうりを取り出すと少し水洗いした。
立派なキュウリを眼の前にギャルママはゆっくり口に運んだ。
「あ〜ん。ふと〜い。こんなのはじめて〜。おいし〜」と感嘆の声を上げた。
それを聞いた佐原さんは「ヒャッホー！」と叫び声を上げていた。
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