爺さん、あざ、かわちぃ、ギャル語連発
テレビ番組で、レポーターが公園の様子を伝えていた。
この公園は、地域の人たちに愛されている。
理由は、自然豊かな芝生の環境と、すべり台などの遊具が充実している。
清潔、近くに交番があり安心感がある、噴水などロケーションが素晴らしい。
ランニングコースが充実している。
ベンチが多く、休憩、ランチなどをとる人にとってありがたい。
など、たくさん良い要素がある。
レポーターは、ランナーや子供連れの母親、ベンチに座って休んでいるお年寄りにインタビューをしていた。
ちょうど、猫を抱いている優しそうな老人がいたので近づいていった。
この辺のチョイスもレポーターの技量が問われる。
「すいませーん、何しているんですか?」
「ああ、テレビですか。お疲れ様。暑い中、大変ですね」
やはり、気のいい、優しい老人だ。この人を選んで良かった。
レポーターは安堵した。そして続けた。
「今、何しているんですか?」
「飼い猫と一緒に日光浴をしています。あげぽよ〜です」
「あ、あげぽよってなんですか。」
急にギャル語を話しだした。
そして穏やかな表情だった老人の目が険しくなった。
「こんなのも分かんねーの?TBS(テンションばり下がる)MM(まじむかつく)〜!」
しまった。変な奴だった。相手を間違えた。レポーターは冷や汗をかいた。ここで無視して違う相手
に行ってもよかったのだが、申し入れた手前、続けるしかなかった。
「かわいい猫ですね」
「あざ!めっちゃかわちぃ(かわいい)でしょ」
「お爺さんの膝の上で安心して眠っていますね。よほど信頼されているのですね」
爺さんは涙目になっていた。
「お兄さん、エモいね」
キリッとした表情になって続けた。
「この子はもともと捨て猫だったのですよ。私もその当時、妻が亡くなって、酷く落ち込んでいました。我が子のように大事に育てて、ここまできました。老い先短いGḠI(ジジイ)に生きる活力を与えてくれました」
「そうですか、大切な家族なんですね」
「ええ、アチュラチュ(ラブラブ)なんです。このあと、二人でオケ(カラオケに行く)ようと思います。あざし!」
と、爺さんは猫を抱いて去っていった。