エジプト放浪記①~アブ・シンベル神殿~
2019年、8月。エジプト南部は灼熱の太陽があたりを焼き尽くしていました。
まるで、観光客の水分を枯渇させ、深淵に潜む本質を炙り出しているようでした。
果たして私たちは、太陽神ラーの目にかなったのか?そんな人間の小さな心配なんか関係なく、太陽はガンガン照り付けてきます。
気温は48度。数分ごとに水分を補給しなければ生命を維持できなくなります。
それは即ち死。太陽神ラーの生贄になることを意味します。
靴を焦がす砂道、流れる汗に絡みつく虫、ナイル川から漂う微風は沸騰させた湯の如し!
バスから歩いて20分、やっと、ラムセス2世(新王国時代第19王朝の王)の大傑作、アブ・シンベル神殿に到着しました。
大神殿は太陽神ラー、小神殿はハトホル女神を祭神とし、王妃ネフェルタルのために建造されました。
神殿前の4体は全てラムセス2世らしいです(青年期~老年期)。
確かに4体とも顔が違いますね。
ガイドさんは、ラムセス2世はエジプトで一番尊敬されているファラオと言っていました。
世界初の平和条約を結んだ(カディシュの戦いBc13c)ということしか知りませんでしたが、どうやら偉大なファラオらしい。
やはりファラオというと、ピラミッドのクフ王、ツタンカーメン王、アトン神を崇拝し、都を移したアメンホテプ4世(イクナートン、ツタンカーメンの父親)などが有名ですね。
なぜ、左から2番目の顔がないのかぁぁぁぁ?
どうやら地震で崩れたらしいです。崩れた顔は足元に転がっていました(失礼な言いかた?鎮座しています)。
内に入ると、鳥肌が立ちました。
ダム建設により、元の場所から移設を余儀なくされましたが、何千年前の建造物であることは変わらないです。
この中で呼吸し、思考し、壁画を描いた古代人に想いをよせている自分は、何て幸せな奴なんだろうと思いました。
神殿の奥には4体の像がありました。プタハ神、アメン・ラー神、ラー・ホルアクティ神、ラムセス2世です。
ちょうど神殿に光が差し込み、像を照らしていました。