なぜ?ラーメンの中に食いかけのパイコーが…
もう40年以上やっているラーメン屋に入った。
チャーハンや中華丼も美味いが、やはり、一番旨いのはパイコー麺だ。
県外からもくるほど、ここのパイコー麺はうまい。
ただ、マスターはもういい年。
齢80くらいの爺さんが一人できりもりしているのである。
席は10席くらいだが、洗い物から何まで一人でやっている。
「パイコー一つ!」
「あいよ!」
まだまだ元気だ。働かないとボケてしまうが口癖だ。
当分店を閉める気はないだろう。
安心した。
「はい!おまたせ!」
来た!腹が減っていた。すかさず麺の上にのっているパイコーにかぶりつく。
うっうめー!サクサクとジューシーさが絶妙だ。
そして麺をかきこむ。
最高だ!まだまだ店をやってくれよ。
そう心で思いながら麺をすする。
おや?
麺の中からパイコーが?
あれ、おかしいな。パイコーはさっき食ったやつと合わせて4つなのに。
一つ多い…
よくみると、食いかけのパイコーだった。
丼ぶりを使った前の客が残したのだろうか。
よくみると洗い場にはどんぶりがたくさん。
親父もたいへんなんだろう。
そのパイコーをティシュでくるみゴミ箱に捨てた。
そして、ラーメンをすすった。