神主、声ガラガラ、痰からみ、活舌悪い、本当に厄払いできた?
厄払いの為、近所の神社に向かった。
中学校の同級生が数十人集まる予定だ。
到着するとスキンヘッドで眼鏡をかけた男性が受付をしていた。
年は50くらいかな。
もしかして神社関係の人かな。
そう思い、自分の名前に〇をつけた。
「おー、新野、久しぶりだな~」
その男は友達のように声をかけてきた。
もしかして、同級生か?
「正木だよ。元気か~」
「お~、マッチャンか~、スキンヘッドだから分からなかったよ」
マッチャンとは中学校では同じクラスにならなかったが、
小学校では3年間一緒だった。
よく家にも遊びに行っていた仲である。
40歳も過ぎると誰だかわからなくなる。
まあ、しょうがない。
あれから25年くらい経ってるんだもんな
しかし、マッチャン老けたな。俺も人のこと言えないけどな。
そう思い、自分の額の皺を伸ばした。
拝殿の中には20人くらい集まっていた。
皆、久しぶりだ。
しばらく談笑し、旧交を温めた。
神主が登場し、挨拶をはじめた。
かなり年配の神主だ。
80歳くらいだろうか。
「このたびは…」
声がガラガラだ。
調子が悪いのかな。
そして、祝詞を読み上げた。
「おおかみの~、ヴィ、ゴホ、ゴホ」
神主は咳をしながら続ける
「〇×▼△、クシュン!」
こんどは途中でくしゃみがでた。
そうとう体調が悪いみたいだ。
「〇×◇■、カー、ペッ!クシュン!」
今度は、途中で痰を吐いた。
神主の脇に黄緑色の痰がみえる。
我々は神主の後ろ姿と痰をみながら
厄を祓う。
痰を吐いても神主の声はガラガラだ。
「ゴホ、ゴホ、カーッ、ペッ!」
そもそも祝詞は大和ことばで意味が分からないが、
節々にありがたさを感じるものだ。
しかし、我々の祝詞は神主の咳払いと痰とくしゃみで終わった。
本当に厄払いできたのだろうか…