1.タイトル:「一生に一度の箱根駅伝。晴れの舞台でモザイクかけられた先輩」
2.
正月の風物詩といえば箱根駅伝。我が国で最も注目されるスポーツイベントの一つである。
私は小さいころから、この正月の大イベントに心躍らせ、いつか自分もこの舞台に立ちたいと思っていた。
幸いというか、私は小さいころから駆けっこが得意で、誰にも負けなかった。

中学に入ると陸上部に入り、誰にも負けたくないという思いで練習に励んだ。
誰よりも練習することで県で敵なしだった。それは高校に入ってからも同じだった。
ただ県では一番でも全国大会に出ると二桁の順位で、全国の壁は予想以上に厚かった。

大学受験は箱根駅伝の常連校に絞った。一般で入学して絶対箱根に出るという思いで勉強励んだ。

結果、ある駅伝強豪大学に合格することができた。

大学に入ってからもスポーツ推薦で入学してきたやつには絶対負けないという思いで練習に励んだ。
そんな中、目標とする先輩ができた。
寮で同じ部屋の4年生佐沢さん。
私と同じ一般入学組である。
多分、全国一の努力家だと思う。私はこんなに練習する選手をみたことない。
ただ、絶対的なレギュラーメンバーではなく、当落線上をうろうろしている。
そんな佐沢さんが最終学年でメンバーの座を射止めた。
やった~!佐沢さんの絶叫が響く。私も祝福した。
「先輩、おめでとうございます。当日は居残り組なので寮で応援しています!」
「そうか、ありがとう!絶対優勝してくるよ!」
こんなやりとりをして佐沢さんを送り出した。
ただ、私にはある懸念があった・・・それは皆も感じていたことである。
そしてむかえた1月2日。寮の食堂のテレビ前には居残り組約20人が集まり、旗をもって応援していた。
我が大学はシード権内をキープしていよいよ山登りに。佐沢さんの出番がやってきた。

「佐沢さーん!がんばれ!」
大声を出して応援した。
佐沢さんも気合が入っている。気合が入ってくると長い舌を揺らして、鼻水や唾をまきちらすくせがある。
我々の懸念が露わになった。
ただ、これが彼のスタイルでエンジン全開の表れである。といえば聞こえがいいのだが、テレビ的にどうなんだろ、、、。
顔を左右に振って、鼻水を垂らし、舌を出して、唾を吐きまくる。
そして、彼は一物が大きい。
スパッツ履けばいいんじゃないですか。周囲から指摘されても
「いや、スパッツはいていると10キロも走ると気持ち悪くなって。はかないほうがタイムがでる」と拒否してきた。
パンツの脇から大きな一物がブラブラと、、、
ある意味地獄絵図である。
その時、テレビ画面から「モザイク!モザイク!」という声が聞こえた。
報道車からなのか、うっすら聞こえた。
その瞬間、佐沢さんの顔と股間部分にモザイクがかけられた。

100年以上続く伝統の箱根駅伝。
モザイクをかけられたのは彼だけだろう・・・。
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