くしゃみをするとファブリーズを吹きかけられる男…
午後の昼下がり、私は新宿で用を終えたので、中央線に乗って八王子に帰ろうとしました。
電車の中はそんなに混んでなく、余裕で座ることができました。
荻窪、小金井、国分寺を通過しても、立っている乗客はなく、皆座れるほどすいていました。
私もポカポカ陽気に誘われ、うとうとし、いつの間にか眠っていました。
「ハークション!」
突然、前の席に座っているサラリーマンが大きなくしゃみをしました。
私はビックリして起きてしまいました。
その時、サラリーマンの隣に座っていた眼鏡をかけた上品な淑女が
バックからファブリーズをとりだし、目の前で噴射しました。
シュッシュ
淑女の眼鏡にしぶきがかかっていましたが、動じていません。
「ハークション!」
また、サラリーマンがくしゃみをしました。
淑女はまた冷静にファブリーズを噴射しました。
シュッシュ
くしゃみをしたサラリーマンにかけるのではなく、自分の目の前に噴射するのです。
「ハークション!」
「ハークション!」
サラリーマンのくしゃみはとまりません。
その度に淑女は何事もなく、ファブリーズを噴射するのでした。